
アーユルヴェーダのトリートメントと聞くと、頭にオイルを垂らすシロダーラが思い浮かぶと思いますが、日々のケアにはボディトリートメントの方が重要です
リラクゼーションや美容のためだけでなく、医療の一環としても行われてきたアーユルヴェーダマッサージの歴史は古く、日々のケアによって自然治癒力を高め、健康や長寿にも効果的だとされています
外見の美しさだけでなく、体内の美しさ、そして清らかな魂 (心)の美しさまでを目的にした、アーユルヴェーダのボディトリートメントについてご紹介します
■アーユルヴェーダ・ボディトリートメントの種類
アビヤンガ・ヴィマルダナ(タイラヴィマルダナ)・ウッドガルシャナ・サンバーハナなど、オイルを使用するもの・粉末を使用するもの・素手で行うもの・などボディトリートメントにはいくつか種類があり、アビヤンガはその内のひとつです
オイルを使用するトリートメントにはアビヤンガとヴィマルダナ(タイラヴィマルダナ)があります
アビヤンガは、温めたオイルをたっぷりと使ったトリートメントで、日本では一回の施術に50㏄~100㏄くらい、アーユルヴェーダの本場インドやスリランカでは100㏄~200㏄近いオイルを使用します
アーユルヴェーダの病院では、浄化療法であるパンチャカルマの前に新陳代謝を活発にして、老廃物を排出させる目的でアビヤンガがおこなわれています
ヴィマルダナ(タイラヴィマルダナ)は、オイルの使用量がアビヤンガより少なめです
「ターダナ(たたく)」「マルダナ(突く)」「ガルシャナ(こする)」「ピーダナ(にぎる)」「ムルドゥスパルシャナ(なでる)」の手技を使い、筋肉の表層から深層部までを対象に、プラーナ(気)の流れに沿ってトリートメントをおこないます

■マッサージの起源と歴史
痛いところに手を当てる本能的な行為から始まったされるマッサージは、インドの聖典ヴェーダやウパニシャッド、ラーマーヤナやマハーバーラタにも登場します
ヨーロッパにマッサージが伝わったのは19世紀、フランス人宣教師が中医学について書かれた紀元前2700年ごろの日記を持ち帰ったことからとされています
医学的な健康体操が考案された北欧では、その中からスウェディッシュマッサージが生み出され、その後ロンドンやニューヨークへ渡り、機能回復や改善を目的とした理学療法の一環としてさらに発達していきました
イギリスではアロマテラピー、ハワイではロミロミ、中国や日本では鍼灸や整体、バリニーズやタイ式など、様々な国や文化の中で発展していったマッサージやトリートメントは、スパブームによって取り上げられ世界各地に紹介されていったのです

■それぞれ何が違う?手技や目的について
マッサージやトリートメントは色々ありますが、施術に使用する手技自体は、バリエーションや呼び方に違いがあるだけで、基本的にはあまり変わらないように思います
違いがあるとしたら、オイルを使ったトリートメントの場合、一般的にオイルの使用量によって圧の深さや強さが、セラピストの体の使い方であるボディメカニクスの違いによって筋肉や腱、筋膜への到達度が変わる、ということが考えられます
マッサージやトリートメントをおこなう目的によっても特徴に違いがあるかもしれません
例えば、アロマテラピーの場合だと、香りの成分を呼吸器や皮膚から浸透させて内臓や神経をリラックスさせていくことでしょうか
スウェディッシュマッサージの場合だと、過緊張やオーバーストレッチになっている筋肉を特定して、通常の長さや強さに戻すことで体の機能を改善させていくことでしょうか
アーユルヴェーダの場合でいえば、ハーブや生薬が溶け込んだオイルを使用をして、関節や筋肉、心身に溜まった老廃物・未消化物質(アーマ)を、皮膚からは汗と一緒に、体内では消化管に集めて排出させていきます

■アーユルヴェーダ・ボディートリートメントの特徴
♢最大の特徴は大量のオイルをすりこむこと!!
手技の70%が「ガルシャナ(こする)」といわれるもので、軽快なものから圧をいれたものまで、とにかく骨の中、骨髄までオイルの薬効をとどけるのが目的です
♢トリートメントオイルが最強
ハーブのしぼり汁や煎じ液、ペースト状の生薬や牛乳などを、ベースとなるごま油やココナッツオイルとともに何日もかけて煮込んで作られるアーユルヴェーダのハーバルトリートメントオイルは、老廃物をスロータス(脈管)に集め、便・尿・汗として排出させたり、全身の循環をよくして末端まで栄養をとどける役目があり、体質や不調の原因になっているドーシャの乱れに合わせて選びます
ドーシャについて詳しくは下記記事をお読みください
♢一番最初に頭にオイルをつける
伝統的にはそうですが、アーユルヴェーダサロントゥルシーではお客様のご予定に合わせて、つけなくても大丈夫です
♢サトヴィックタッチ・ラージャシックタッチ・ターマシックタッチを使い分ける
柔らかく繊細で優しく調和的、強いけど痛くない、しっかりしてるけど荒くない、深く鋭く流れを詰まらせるバリアを緩めて、血液やリンパの流れを促していきます
♢エネルギーポイント、マルマを刺激しながらおこなう
生命エネルギーであるプラーナ(気)は、背骨にあるチャクラから神経叢を通り、マルマを経由して全身を巡っていきます
筋肉や靭帯、骨や関節の接合部、血管や神経、リンパ節のあるところに107個ともいわれるマルマがあり、トリートメントは体表にあるマルマを通りながらおこないます
♢プラーナ(気)の流れに沿っておこなう
トリートメントの方向は、下半身は腰から下へ、上半身は腰から上に、腕は肩から指先へと抜けていきます
♢ほんのり汗がでるくらいに発汗させる
全身のトリートメントで血流をあげることで、未消化物質や老廃物を浮き上がらせ、身体を温めることで体内の循環を促し、汗や消化管から排出させていきます
アビヤンガにプラスしてハーブテントやピンダなどの発汗法をおこなうと、さらに排出力が高まります
♦♦アーユルヴェーダサロントゥルシーのトリートメント♦♦
ヴィマルダナで緊張した筋肉をほぐしながら、約60ccのスリランカ産トリートメントオイルを希釈することなく使用したアビヤンガで、全身をトリートメントしていきます
■アーユルヴェーダサロントゥルシーのボディトリートメントの流れ
☆ドーシャチェックとカウンセリングをしながらウエルカムドリンクをお召し上がりいただきます
↓お客様のドーシャや今日の体調からオイルを選びます
↓お着換えをしていただいたら、フットバスからはじめます
↓頭に軽くオイルをつけるか、ドライでの頭皮マッサージからトリートメントがスタート
↓トゥルシーのボディトリートメント・90分もしくは120分
↓ホットタオルでお身体をお拭きします
(シャワーは別途1,000円料金がかかりますが、ご希望の方はお申し付けくたさい)
★パウダールームにアメニティのご用意があります
ゆっくりとお仕度してください
■アーユルヴェーダトリートメントを受ける頻度や回数
♢サロンでのトリートメントの目安は、毎月1回・隔月2か月に1回・季節の変わり目年に4回など、ご自身のペースを決めて定期的におこなうのがよい
高品質なオイルで全身のトリートメントを重ねるごとに、身体のベースが整い、大きな不調を小さく、こなしやすくなっていきます
♢セルフマッサージは毎日するとよい
アーユルヴェーダのトリートメントオイルのベースにもなっているごま油は、老化を遅らせ、疲れを回復させ、乾燥から皮膚を保護し、骨や関節を丈夫にして身体に栄養を与えます
市販されている太白ごま油を使って、朝・夜どちらでもよいですし、時間がないときは頭・耳・足のどれかだけでもokです
■アーユルヴェーダはシンプルです
健康を保つためにも、人生を楽しむためにも、まずは身体の機能を高めておくことが必要です
アーユルヴェーダのトリートメントは、季節やライフスタイルの影響によって変化する心と体のドーシャを、その時々に合わせて選んだオイルでバランスさせ、心地よい状態に整えていきます
セルフケアで行うディナチャリヤは、朝起きる・太陽を見る・とりあえず今生きてることに微笑む・歯磨き舌磨き・水や白湯を飲む・ヨガや瞑想・運動をする・腹八分目に食べる・毎日ごま油でマッサージする、などをできる範囲でやるだけです
そして、たまには誰かの手に自分をゆだねて、しっかりオイルをすりこんでもらい、心と体を充実させていきましょう

このところ「四十肩をなんとかしてくれ~」とやって来る日々奮闘中の54歳、当サロンオーナーに「五十肩です」と訂正しようか迷いつつ、肩の痛みを改善させるにはどのオイルがいちばん有効か実験しています
今回のブログ担当はセラピストmoegiでした
最後までお読みくださりありがとうございました
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